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『【コラム】“物流センターマテハン設備の保守点検とリニューアルの重要性”第3回(全5回)』

2018.11.21

こんにちは。

当社物流コンサルタントの馬場聡がBCPの観点から見たマテハン設備の保守とリニューアルの重要性を具体例を交えて、皆様にお伝えする連載の第3回です。

第1回はこちら

第2回はこちら

 

5.継続的な保守業務の重要性

マテハン設備の法定耐用年数は12年とされているが、定期的な保守業務を継続することで、法定耐用年数を超えて安定稼働を続けている設備も多く存在する。

言い換えれば、保守業務による消耗部品の交換や制御系の更新などを怠れば、その分だけ稼働率低下のリスクを高めることになり、結果として設備の寿命を短くするということに繋がる。

一般的にマテハン設備の保守業務を適正に実施するためには、年間で導入費用の約1.5~2.5%程度が必要とされている(消耗部品の交換を含む)。

10億円の設備投資であれば、保守業務に掛かる費用は年額で約2千万前後となる。

非常に大きな金額に聞こえるかもしれないが、稼働率低下時の企業に与える損失や、適正な保守業務による更新設備の最小化、更新サイクルの延長を考えれば決して高い金額ではない。

但し、ここでひとつ注意して頂きたいのは、保守業務とはトラブル発生を最小限に抑える予防保全であるため、いくら費用を掛けたとしても設備故障が全くなくなるわけではない。

また、設備の基本的な能力が向上するわけでもないため、費用を掛けにくい対象ではあることに間違いない。

中長期の広い視点と、前述のトラブル発生時の事業への影響や更新コストの削減なども勘案した上での経営的な判断が大事になる。

 

6.保守・更新業務の具体的施策

保守・更新業務を計画的に実施するためには、これから説明する3つのステップを段階的に踏んでいく必要がある。

御社のマテハン設備の保守・更新計画の策定に是非とも役立てて頂きたい。


【STEP1】

機能別のトラブル発生時の対応分類まずは導入した設備を機能別に分割し、どの様なトラブルが発生するかを整理することが第一歩となる。

その上で、各種トラブルが発生した場合の代替手段の有無とセンター稼働率への影響度について、次の通り分類する。(図表.3)

図表3

①代替手段がなく、稼働率が著しく低下して稼働停止のリスクがあるもの
②代替手段があるが、処理能力が低下するもの
③代替手段があり、大きな能力低下とならないもの
④代替手段がないが、あまり能力低下にもならないもの

ここでポイントとなるのは、「設備を機能別に分類する」ことである。

例えば、仕分けソーターであれば、ソーター本体が停止してしまうリスクがあるトラブルは①に該当するであろう。

一方で仕分けシュート1本のみが停止した場合は、他シュートに振り分けるなどの代替手段があり、大きな能力低下にもならないため③となるはずである。

このようにひとつの「仕分けソーター」という設備でも、「商品を出荷先別に仕分ける機能」と「仕分けられた商品を搬送する機能」というように、機能別に分ける必要がある。

保守業務の重要度は言うまでもなく①が最も高い。

次いで②、③と重要度が低くなっていく。この分類を正しくできなければ、適正な保守業務計画の実現とは程遠い状況に陥ってしまう。

同じ設備でも庫内マテハン設備の構成によって分類が変わってくるため、この点については現場オペレーション担当者のヒヤリングも行い慎重に設定することが肝要である。

なお、すべての機能が④に分類された設備については、その設備自体が本当に必要であるか別次元で議論をする余地があることを補足しておく。

 

【STEP2】

保守計画の策定と予備品選定ステップ1が正しく整理されれば、その後は各設備の重要度に基づいて実行していくことになる。

①と②に分類された設備については、トラブルを未然に防ぐための予防保守業務を手順通りに実施するとともに、トラブル発生時に長時間の稼働停止とならないよう、必要な予備品をストックする必要がある。

特に①に分類された設備は、事業経営そのものを左右する重要なファクターになり得るため、社内コンセンサスを集約化して経営判断をすることになる。

また、②と③については、トラブル発生時に代替手段に切り替える手順や、切り替えた場合の人員配置計画などを確認し事前トレーニングすることも大切である。

 

【STEP3】

中長期改修計画の策定と予備品確保前項までの重要度を踏まえ、設備別に5~10年先までの中長期改修計画を検討し、それに合わせた予備品の補充計画を策定するのが最終ステップとなる。

予備品の数量や発注タイミングについては、部品メーカーの生産中止や保証期間も配慮して決定する必要がある。

また、設備によっては予備品を最小限にとどめ、ある一定のサイクルで主要部品や設備自体を更新するという手法も比較検討しなければならない。

いずれにせよ、保守コストと稼働率低下のリスクは常にトレード・オフの関係であるため、多面的に精査した上で方向性を決める必要がある。

 

以上の3つのステップを早期に策定することが、安定稼働の実現には欠かすことができない。

また、前述の通り適正な保守業務を実施したとしても、想定外のトラブルが発生する可能性もあるため、その都度、内容の修正を行う必要がある。

なお、すべてのステップを正確に実施するためには、物流機器メーカーに協力してもらうだけでなく、第三者の立場からのトータル保全マネジメント支援も有用な手段といえる。

 

7.先進的な大規模改修事例

・・・第4回へつづく(11月28日にUP予定)



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